【結納・顔合わせ】意外と知らない?結納と顔合わせについて
日本の婚礼には独特の慣習である結納と両家の顔合わせがあります。
近年では、価値観の多様化によって、結納を簡略化する傾向や結納を行わず両家の顔合わせだけで済ませるケースが多いようです。
そもそも、結納や両家の顔合わせとはどういうものなのでしょうか。
耳にしたことはあるものの、はっきりよくわからない!という人が多いようです。
結婚を決めたなら、この機会に古くから受け継がれてきた結婚の風習を知って、結婚への新たな決意につなげてみてはいかがでしょうか。
1.結納とは?
まずは、結納の意味を正しく理解することから始めましょう。
結納の漢字が示す「結び」「納める」は結婚するふたりのことではなく、両家をさしています。
つまり、結納とは結婚する両家が結ばれ、ひとつに納まるという意味です。
結ばれる家と家が、お礼の品を交換するという意味合いがあります。
ですので、結納を行うことで、婚約が正式なものとなります。
結納の起源は1600年ほど前の仁徳天皇の時代までさかのぼります。
天皇の皇太子が妃を迎えるときに、「納采」といわれる儀式を行ったのがはじまりとされています。納采では男性の親が女性の親に贈り物をして、挨拶をするという意味があります。
今日でも、皇室では一般の結納にあたる「納采の儀」が執り行われていますね。
皇族の間の文化が平安時代には公家に広まり、室町時代になると武家の間でも行われるようになりました。明治に入り、一般市民にも普及しはじめ、結納も一般的なものになりました。
1-1.結納の流れ
結納は両家の間を取り持つ仲人が両家を行き来して、結納品や受書のやりとりを行います。
結納品の内容は、昆布やするめだど「縁起がよい」といわれている昔ながらのもの5〜9品です。
後ほど、触れますが、しきたりや手順は地域や家によって大きく異なります。
正式な結納の流れ(関東式)を簡単に説明しましょう。
*男性側が準備するものは、結納品、婚約記念品(婚約指輪)、結納金(結婚支度するために)、受書。
*女性側が用意するものは、 婚約記念品、結納返し、受書、仲人への謝礼金と料理。
- 仲人が男性宅を訪問して結納品などを受け取り、女性宅へ行き結納品を渡す。
- 女性宅では確かに結納品を受けとったという受書と、女性側から男性側への結納品を仲人に渡します。
- 仲人は男性宅に出向き女性側からの結納品に対する受書を受け取り、再び女性宅へ行きます。
- 女性側は仲人を料理でもてなし、謝礼金を渡し労います。
何とも、行ったり来たり仲人はたいへんですね。
かつてはこの手順で行われていましたが、合理化がすすむ社会に伴い、婚礼の儀式も簡略化されることが多くなりました。
近年では結納は両家や女性宅、ホテル、料亭などの会場に集まり、結納品の受け渡しをするようになってきました。仲人も立てないケースもあります。
詳しくは後ほどご紹介しますね。
ちなみに、「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」によると結納金の平均は91万8000円、結納返しの平均は38万2000円(現金の場合)、結納品・その他の平均は18.3万円です。
1-2.地域によって大きく異なる
結納は住んでいる地域によってしきたりが異なります。
大きく分けて、関東と関西は違いが明確です。
〈関西式〉
関西式では、結納品は男性側から女性側に贈るもので、女性からの結納品はありません。
ですので、男性側が女性に結納品を贈り、女性側は受書を渡し、結納品は贈りませんが、もらった金額の1割程度の金額を返礼します。
結納品も関西式では5〜9品です。
この関西式に準ずるのは富山・石川・福井、東海・中国・四国といわれています。
〈関東式〉
関東式では男女の立場が同格扱いで、お互いに結納品をとりかわします。
結納金については、女性が男性からもらう分の半額にあたる品物を返す「半返し」の習慣があります。
結納品も関西式とは違い9品目です。
この関東式に準ずるのは北海道、東北地方、新潟・長野・静岡といわれています。
他にも地方によって独特の形があります。
たとえば、広島では結納返しとして「おみやげ結納」が行われます。
この「おみやげ結納」は、男性側から贈られた結納品よりも少ない品目数で、控えめな飾りをあしらったものを用意するのが礼儀とされています。
また、婚家のご先祖に挨拶するという意味で「おみやげ結納」の品にお線香を添える習慣があるようです。
「おみやげ結納」は、結納を頂いてから後日改めて持参するのが慣習ですが、最近では結納当日の同時交換もあるようです。
2.顔合わせとは?
顔合わせとは、両家が集まって食事をしながら親睦を深める会のことです。
結納のように決まりごとやしきたりなどなく、自由度が高く、なごやかな雰囲気で過ごすことができます。
結納では婚約の記念品として両家のあいだで結納品が取り交わすのがルールになっていますが、顔合わせの食事会では不要です。
ですので、結納と両家顔合わせとはまったく違うものです。
よく混同されることが多いですが、まったく別物というわけです。
顔合わせが行われる場所は、料亭やレストラン、ホテルが定番となっています。
会場はカジュアルな感じではなく、落ち着いた雰囲気の個室がおすすめです。
3.結納や顔合わせを行ったカップルは?
では、今の時代に先輩カップルはどのくらいの割合で結納や顔合わせを行ったのでしょうか。
「ゼクシィ結婚トレンド調査2018」のデーターを参考にしてみましょう。
〈結納・顔合わせ食事会を行ったカップルの平均/全国平均〉
- 結納のみ行った ………3.4%
- 両方行った ………10.5%
- 顔合わせ食事会のみ行った………80.9%
- どちらも行わなかった ………4.8%
- 無回答 ………0.4%
地方を代表して、岡山・広島・山口・鳥取・島根では‥
- 結納のみ行った ………1.9%
- 両方行った ………16.7%
- 顔合わせ食事会のみ行った………78.5%
- どちらも行わなかった ………2.9%
圧倒的に「顔合わせ食事会のみ行った」というカップルが断トツに多いですね。
かつての結婚のように家と家の結びつきが薄らいだとはいえ、家族・親族の顔合わせは現代でも必要なことと受け止められているようですね。
一方、結納ですが、両方とも行ったも含めて首都圏で約14%、山陰地方では18.6%と意外と多くのカップルが行っていますね。本人が望むというよりも、親世代の意向から行われることが多いようです。
4.進化する結納
きちんとしきたりに則った結納を行うスタイルも、時代の流れによって取り交わしの儀式もさまざまな形に進化してきました。
前章でご紹介した仲人が両家を行き来し結納を交わす正式結納ではなく、仲人を立てず自宅以外の場所、ホテルや料亭で行う略式な結納も増えています。その場合、男性側だけが結納品を用意して、女性側は受書のみ用意します。
料亭やホテル、結婚式場には「結納パック」が用意されていることが多いようです。
このパックには、結納を行うための部屋、食事や飲み物、装花がセットになっており、さらに結納に必要なサービスも揃っています。
ですので、わからないことを専門スタッフに聞いたり、当日の進行をお願いできる介添えスタッフがいたりと心強いですね。
何より、結納品や料理など、結納に最低限必要なものが手配でき、準備がラクなところが好評なようです。
また、最近は結納金を贈らないことも増えています。
その理由は、結納金分の金額を結婚式や新生活の費用にしたい、経済的負担を減らしたい、結納返しや嫁入り道具の準備が大変なので…など理由はさまざまです。
結婚するのはふたりですが、結婚準備は今まで育ててもらった両親の考えにも耳を傾けるようにしましょう。
もしかしたら、ふたりとは違う意見をもっているかもしれません。
ふたりだけで決めるのではなく、お互いの親に確認しながらすすめていきましょう。
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