目次
1.新郎が着る衣装の種類
そもそも、新郎の衣装はどんな種類があるのでしょうか。
日本では新郎が結婚式で着用する洋装のことを「タキシード」と呼ばれていますが、これは日本独特の呼び名です。
男性が結婚式で着用できる洋装の礼服は4種類で、タキシードはその中の種類のひとつ。
それぞれの衣装にドレスコードがあり、格式により「正礼装」「準礼装」「略礼装」のスタイルに分かれ、会場や時間帯によってふさわしい衣装を着るのがマナーとされています。
さっそく、それぞれ新郎の衣装の特徴について紹介していきましょう。
1-1.モーニングコート
昼間の時間帯で最も格式の高い、正礼装にあたるのがモーニングコート。
18世紀の英国貴族が朝の日課とされていた乗馬の後、そのまま宮廷に行けるように礼服化されたことがルーツになっているようです。
ジャケットの色は黒で、グレーの縦縞のスラックスをサスペンダーで吊るすのが基本のスタイル。
ジャケットの後ろが長く、短い前裾から後裾へ斜めにカットされているデザインが特徴です。
日本では新郎新婦の父親が着用するのが定番になっています。
ですので、新郎が着用する場合、父親と差別化できるデザイン性の高いものがおすすめです。
結婚式以外では、皇室主催の園遊会や勲章の授賞式に出席する人がよく着用していますね。
1-2.フロックコート
フロックコートも昼間の時間帯の礼装のひとつです。
19世紀中ごろから20世紀初めに男性用の礼装として広く親しまれた服装で、当時はダブルブレストのジャケットで着用されていましたが、時代の流れとともに、シングルが好まれるようになりました。
モーニングコートに比べて、ジャケットの前裾が水平にカットされた直線的なロングシルエットが特徴。
丈が長く大きな見頃のデザインは、大聖堂での挙式やクラシカルな雰囲気の披露宴会場に映える衣装といえます。
1-3.タキシード
本来は夜間のみ着用される礼服のひとつ。
近年は昼夜問わず、結婚式で最も着用されることが多い断トツ人気の衣装です。
フロックコートとタキシードをかけ合わせたようなデザインのものが多いようです。
デザインも豊富なため、フォーマルにもカジュアルにも着こなすことができます。
1-4.テールコート
和名では「燕尾服」と呼ばれ、こちらの言葉のほうがよく耳することが多いのではないでしょうか。
テールコートは夜間に着用するもっとも格式の高い装いです。
こちらのデザインも乗馬服がルーツになっており、現在でも馬術の上級競技ではテールコートの着用は義務づけされているようです。
現在の結婚式では衣装の一番人気はタキシードになっていますが、本来は夜間の第一礼装となっているのがテールコート。
ですので、格式ある挙式や大人のムードのナイトウエディングを挙げる新郎はぜひテールコートを着用してみていかがでしょうか。
1-5.紋付き袴
昼夜問わず着用できる和装の正装が紋付袴です。
紋付袴は羽織の背中、両胸元、両袖の5箇所に染め抜きの紋が入っていることから、正式には「黒五つ紋付羽織袴」と呼ばれています。
縦縞の袴を合わせ、小物は半襟から足袋、扇子、羽織紐、鼻緒まですべて白一色が正式です。
2.衣装の色は?
新郎の衣装の色選びも全体のイメージを左右するキーポイントになります。
この章では、新郎が着用するタキシードのカラーバリエーションをご紹介しましょう。
〈ホワイト系〉
純白のウエディングドレスに合わせ、新郎の衣装もホワイト系は人気が高いです。
ベストやシャツ、タイのカラーなどでそれぞれのアイテムでオリジナリティを出すことができます。
普段、着ることがないホワイト系の衣装、主役となる結婚式ならではのカラーといえますね。
〈シルバー系〉
光沢感のあるシルバー系も新郎の衣装として人気のカラーです。
濃いめやブルー系シルバー、紫色がかったシルバーなどさまざまな種類があります。
花嫁の衣装とのバランスを見ながら選んぶようにしましょう。
〈ブラック系〉
礼服の定番カラーであるブラックのタキシード。ベストやシャツの色に明るめのものをコーディネートすると明るい印象になります。結婚式のコンセプトや雰囲気に合わせて組み合わせてみましょう。
〈グレー系〉
シルバーよりマットカラーであるグレーは華やかな衣装が照れくさいという新郎におすすめ。カジュアルなパーティにも適していますね。
他にも光沢感と上品な雰囲気を漂わすゴールド系、派手すぎず地味すぎず程よいカラーのブルー系もあります。
3.衣装選びのポイント
結婚式の衣装選びは、新婦主導になることが多いですが、ふたりのバランスがとれてこそ、はじめて美しい出で立ちになります。ですので、新郎の衣装選びもとても重要です。
そこで、この章では新郎が衣装を選ぶときに大切なポイントをお伝えしましょう。
3-1.自分に合ったサイズ
当然といえば当然ですが、一番重要なのはぴったりなサイズです。自分にしっかり合っているサイズを選びましょう。身幅、肩幅、太もも幅、袖丈、ズボン丈を必ず確認しましょう。
サイズが大きいと、タキシードに着られているように見えてしまうので、せっかく素敵な衣装が活躍できせん。
サイズ感は、色やデザインよりも重要だということを覚えておきましょう。
3-2.新婦とのバランス
新婦の衣装がドレスあれば、新郎も洋装にしましょう。
新婦のドレスがトレーンの長いものやクラシカルな雰囲気であれば、新郎はテールコートやモーニングコート、プリンセスラインのかわいいドレスならモーニングやフロックコート、タキシードがおすすめです。
新婦が和装なら、紋付きで合わせるのが一般的ですが、衣装の格で揃えることも大事です。
新婦が白無垢、色打掛、黒引き振り袖の場合、新郎も正礼装である 黒五つ紋付羽織袴となります。新婦がそれ以外の和装を着るなら、それに合わせて略礼装である色紋付袴にします。
3-3.会場に合わせる
結婚式場の雰囲気も考慮して衣装を選ぶことも大切です。
厳かなチャペルでの挙式や格式の高いホテルでの披露宴であれば、タキシード、テールコート、モーニングコート、フロックコートを。美しいグリーンでのカジュアルパーティやカジュアルな雰囲気の会場であれば、タキシードがおすすめ。
4.オシャレなプチテクニック
新婦のドレスが小物で雰囲気がガラリと変えられるのと同様に、新郎の衣装も小物をチェンジするだけで大きく印象を変えることができます。
〈シャツ〉
新郎の正装に合わせる白シャツは「Yシャツ」ではなく立ち襟タイプの「ウィングカラー」を用意します。披露宴やお色直しにはカラーシャツにするのもおすすめです。
〈ネクタイ・蝶ネクタイ〉
ネクタイはフォーマルなイメージ、蝶ネクタイはカジュアルなイメージになります。
〈チーフ〉
チーフはコートの胸ポケットに挿すアイテムです。
白が最も格が高いといわれており、挙式のときは白チーフにします。カラードレスの際はドレスの色に合わせると統一感が出てオシャレですね。
〈ブートニア〉
新郎の左胸に飾るコサージュをブートニアといいます。
新婦のブーケとお揃いのものを用意するのが一般的です。
これまで、結婚式で新郎が着用する正式なかたちを見てきました。
ドレスコードが日本の婚礼の場面であまり浸透していないのが現状のようです。
そのため、モーニングは新郎新婦の父親が着ることが定着し、新郎の着用はタキシードといった雰囲気が浸透しています。
正式な衣装にこだわりすぎず、現代の婚礼シーンに合わせるのも一つの方法かもしれません。
大切なのは正装している花嫁の衣装とつり合いのとれた花婿の衣装ではないでしょうか。
衣装スタッフと相談しながら、現在的なデザインのタキシードを選んで、花嫁にふさわしいカッコイイ姿でゲストを魅了してくださいね。
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