目次
1.婚約指輪の歴史
婚約指輪の歴史をたどれば、古代エジプトまでさかのぼります。
ですが、当時は婚約よりも結婚の証として指輪の交換が行われており、それが婚約指輪のはじまりといわれています。
結婚は象形文字の円で描かれ、永遠に途切れぬものを意味しています。指輪の円形にその意味を重ね、それを交換することで愛を永遠のものにしようと考えられたといわれています。
また、婚約指輪の由来は紀元前1世紀の古代ローマにもあります。
古代ローマでは結婚よりも婚約が重要視されていたようです。結婚の約束を誓う儀式に鉄の輪っかが誓いのしるしとして使われていました。
これが、次第に結婚指輪、そして婚約指輪の意味として定着していったようです。
1-1なぜ薬指にはめるの?
婚約指輪は左手の薬指にはめるものとなっていますが、それはなぜでしょうか。
実はこちらも古代エジプトの風習に関係しているようです。
女性の左手の薬指には心臓につながる太い血管がまっすぐに通っていると信じられてきました。心臓(心・感情)とつながっている薬指に婚約指輪をはめることで、愛する女性の心をつなぎ止めておくという意味が込められていたとされています。
そんな由来から、婚約指輪は左の薬指にはめられるようになり、時代を越えて現代ではそれが広く浸透して一般的になりました。
さらに薬指には「創り出す力」があるとされています。そのことから、ふたりが創造するという願いも込められているそうです。
1-2.宝石を使うようになったのは?
古代ローマでは鉄の輪でしたが、宝石がついた婚約指輪で出できたの中世の頃といわれています。
初期はサファイヤやルビーがよく使われていました。
初めて婚約指輪にダイヤモンドが用いられるようになったのは1477年といわれています。後に神聖ローマ皇帝になるマクシミリアン1世がブルコーニュ公国シャルル公の娘であるマリーに結婚を申し込んだとき、ダイヤモンドを配したリングを贈ったとされ、これが史実に残る最初のダイヤモンドの婚約指輪といわれています。
なぜマクシミリアン大帝がダイヤモンドを贈ったのというと、ドイツのモロルティンガー博士が「不屈の力」や「永遠」を意味するダイヤモンドをプレゼントするようアドバイスしたとのこと。
それから、ダイヤモンドが永遠の愛の象徴となったようです。
ダイヤモンドを飾った婚約指輪は長い間、王族貴族など富裕層のものでしたが、19世紀末には一般の階級にも広まってきました。その理由のひとつに、1866年に南アフリカでダイヤモンドの鉱山が発見され、ダイヤモンドを安定的に供給できるようになったことが大きいといわれています。
今では婚約指輪といえばダイヤモンドがあしらわれたリングが定番になっていますが、日本でいつ頃広まったのかについては後の章でご紹介します。
2.婚約指輪の意味
プロポーズされたら贈られる婚約指輪。
指元に光る婚約指輪ですが、その意味に何があるのでしょうか。
婚約指輪には主に3つの意味があります。
2-1.カタチとして示す
結婚を約束をすれば、ふたりは婚約となります。
ですが、そこには法的なルールは存在しません。婚姻届のような書類の提出や名字が変わるといった変化がなにもないのです。
人生にとって大きな節目になる決断が口約束だけでは、やはり不安なもの。そこで周囲の人に結婚の約束をした証に「婚約記念品」が贈られてきました。その代表的なものが婚約指輪です。
婚約指輪を指に身につけることで、周囲に「私には結婚を決めた人がいます」と知らせることができ、口約束から信用性のある約束になります。
2-2.ふたりの決意の象徴
婚約指輪の平均購入価格は30万円から40万円ととても高価なものです(出典元『ゼクシィ結婚トレンド調査2017調べ』)。
男性はそんな高価な婚約指輪を女性に贈ることで、生涯のパートナーになるという決意と覚悟が明確になります。女性のほうも婚約指輪を受け取ることで目の前のパートナーと人生を歩む決心がつくようです。
これから結婚して日常生活がはじまったふたりにとって、婚約指輪を見るたびにふたりの決意を思い出すことができます。
2-3.一生の財産
一般的に婚約指輪はプラチナやゴールドの貴金属を使用し、メインの宝石にはダイヤモンドをあしらった指輪を指します。ひと昔前は、婚約指輪が生涯ふたりの財産になると考えられてきました。残念ながら、実際に手放す際の買い取り価格は購入した金額には程遠い金額になりますが…。
ですが、価値がないものではありません。貴金属やダイヤモンドは腐食しない不変なものなので、子どもや孫へを代々引き継ぐことができます。
デザインやサイズなどリフォームしながら身につけていく、ひとつの指に込められた想いや歴史は金銭よりも価値ある財産になるのではないでしょうか。
3.日本にはいつから広まった?
日本で婚約した証として婚約指輪を贈る習慣が入ってきたのは、文明開化した明治時代の頃といわれています。
当時は結納品のひとつとして贈られていました。その頃はダイヤモンドではなく、ほとんどの人が真珠や誕生石であしらわれた婚約指輪だったようです。
現在のように、婚約指輪の王道で人気の高い立て爪タイプ(ソリティア)のダイヤモンドリングが広く定番になりはじめたのは、ダイヤモンドの輸入が解禁になった高度経済成長期のあたり1950年代後半からだとか。
人々の生活も豊かになり、欧米のライフスタイルが一般的になっていった頃のようです。
地球上の天然鉱物の中でもっとも硬いダイヤモンドは、希少性も高いことから固い絆と永遠の愛、無色透明な輝きは純愛無垢な心を象徴している宝石といわれるようになりました。
その理由からダイヤモンドが婚約指輪でよく使われるようになり、イメージも定着しました。
近年では、立て爪タイプのほかにも、アームに同じカットのダイヤモンドを敷き詰められたエタニティリング、ダイヤモンド以外の宝石ではパール、ルビー、サファイヤ、ヨーロッパでは幸運を招くとされる誕生日石を用いたものもあり、さまざまなデザインや石の婚約指輪が見られるようになっています。
とはいえ、ダイヤモンドの美しい煌めきと輝きは多くの女性を魅了してきました。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」といわれることから、二人の愛も永遠に輝くようにいう願いを込めて贈られたり、無色透明であることから洋服にも合わせやすいという理由にあるのかもしれません。
婚約指輪の歴史や意味についてご紹介してきましたが、発祥が古代エジプトまでさかのぼるなど、知れば知るほど奥深いものですね。
婚約指輪は形のないふたりの絆の象徴であり、男性から女性への永遠の愛を誓った証の意味合いも込められていました。
また、婚約指輪をはめることで、周囲に結婚の意思を伝える役目もあります。
愛し合うふたりのこれからを誓い合う最初のステップともいえるのが婚約指輪。
特別な意味が込められた格別なリングなのですね。
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